さんびる(ビルメンテ会社)がイタリアンビィッフェを経営する理由

ビルメンテナンス会社「さんびる」の企業視察記事です。








会社名株式会社 さんびる  (旧:株式会社 山陰ビルサービス)
住所松江市乃白町薬師前3番地3
資本金7,200万円
事業内容ビルメンテナンス
代表者名田中 正彦
従業員数1,373名

さんびるは、島根に本社1500名(内なんと希望された300名だけがパートで後は正社員)のビルの清掃を行う会社です。山陰だけでなく中国地方全般、福岡、大阪、東京、仙台など、広域に渡り、営業をしたわけではなく、お客様の方からクチコミで連絡があり展開しています。お客様満足が半端ではなく、次々と紹介でお客様が広がっています。

ビルメンテナンスの業界の動向は価格競争になり、全体的に利益は減少しています。また、高齢化が進み、魅力のない業種になっています。
そうした中で、価格競争どころかむしろ高目で、大学卒の学生が殺到する会社が〝さんびる″です。

学生が殺到する理由を紹介します。実際、まだ、入社5年目の大卒の社員の方のお話を聞きましたが、お母さんが清掃婦としてパートで働いていて、

「いつも今日は誕生日会だった。今日は、社員旅行で楽しかった。こんなによくしてもらった。人間関係でいろいろあるけど、さんびるにいると楽しい。・・・・」



小さな頃から、さんびるのいい話ばかりを聞いて育ったので、学校を出たらさんびるに入ろう!と思って入ったそうです。(田中社長のお母さんもさんびるにお勤めでした)
業種に貴賤はありませんが、一般的には、3Kと言われるビルメンテナンスの会社において、自分の子供がさんびるに入れたいし、子供も入りたいといった会社はそんなにないと思います。

2001年に事件が起きました。学校で、さんびる(当時、山陰ビルメンテナンス)に勤めていたお母さんの息子さんが、学校で病気になったので息子さんが通う学校の先生が、お母さんになんとか連絡を取ろうとしましたが、お母さんに見つかりません。なぜなら、そのお母さんは、さんびるに勤めていることを隠して、日赤病院の清掃をしていたものですから、学校に届ける勤務先に日赤病院と書いていたために日赤病院に連絡が入ったのです。しかし、日赤病院は、「そんな人はいません。何かの間違いです。」となったのです。

自分の会社を名乗れない社員がいることに、大きなショックを受けた田中社長は、「絶対に社員が堂々と誇れる会社にしよう」と、構造改革委員会を組織して、当時、入ったばかりの新入社員を委員長にするといったビックりするような指名を行い、経営改革に取り組みます。

・年に2回の1泊2日の研修会、6カ所、田中社長、全日全て出席
・毎日の社員へのメッセージ配信(10年間以上継続)
・誕生日への手書きでのメッセージ
・1500人の社員へ全て返答
・従業員満足度調査での、社長への直接要望について、個別に数百通全て対応
・朝、7時30分の出社、社員と一緒に床拭きなどの清掃
(ちなみに朝一番に来る理由は、社員一人一人と必ず挨拶ができるからで、遅く出ると、既に現場に行ってしまう人がいるから・・・)
・定期的なローテーションで、スタッフも現場にいく。
・売上や利益目標でなく、徹底的にプロセス目標でマネジメント  他多数の取組み・・・
・いかにお客様に喜んでもらうかを考えて、お客様が来た場合、飲み物は選べるようにしている(コーヒーを飲んできた人など人によってその前が違うため)
・お客様からお土産などをもらったら、必ず、上司が電話を居れたり、直接御礼にいったりする

など、お客様が喜ぶことは何でもやるといった、サービス文化を醸成しています。

一方、事業展開で、最近、イタリアンビッフェの経営を始めましたが、あまりにも、業界が違うので、不思議に思い聞いてみました。
すると田中社長は、お客様の反応が、イタリアンビッフェでは直ぐに感じることができるので、社員の教育も兼ねて・・・とおしゃっていました。
清掃で直ぐにお客様の満足がフィードバックされることは、なかなか機会が少ないために、あえて、イタリアンビッフェを経営し、そこに、定期的に社員をローテーションすることで、お客様との対応の感覚がよくなるそうです。


まさに、下記の経営理念を共有化がされている会社で脱帽でした。

経営理念
『私たちさんびるグループは お客様の笑顔と喜びを求めて 地域社会の発展と雇用に貢献し 社員の幸せと成長を願い パートナー・社員と運命共同体を作り
一、お客様サポートに徹し
二、グループすべての成長に全力をそそぎ
三、心・技・体の三位一体で 常に変化成長し続ける企業として広く社会に貢献する』
(さんびるグループホームページより)

田中社長や社員の方が話されたことを思い出して、弊社イマージョンも、自分の息子や娘を入れたいと言われる会社にしたいと改めて思いました。


【筆者プロフィール】
藤井正隆
株式会社イマージョン代表取締役社長

人を大切にする経営学会理事・事務局長


社会性と経済性を両立させた経営を実現している「いい会社」研究と変革支援がライフワーク。大学院の特任研究員として活動し年間100社以上の全国各地の優良企業を現場視察し、経営学を中心にそのメカニズムを研究。企業事例と理論を融合しわかり易く伝えている。

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