同情と共感の違い

スワンベーカリーは、ヤマト運輸の故小倉昌男さんが、障がい者の賃金が、月1万3千円であるといった状況(実質は、働けない人もいるので、5千円位と言われている)を変えたいといった志から起こした事業です。アルバイト学生で入った元暴走族の海津前社長が5名の障がい者を雇用して始めたところから現在では300名以上を雇用しています。凄い!!







会社名株式会社スワン(平成13年8月1日ヤマト運輸の特例子会社)
住所東京都中央区銀座2丁目12番15号
資本金200,000,000円(平成18年2月現在)
事業内容スワン店直営及び、チェーン店への開店準備
パン製造技術研修その他サポート(無償)
代表者名松本 行雄




銀座にあるスワンCaféは、大通りに面したガラス張りの解放感のある店内で、アーティストの絵や写真も飾られて、おしゃれで心安らぐが空間です。お店の扉をあけて一歩店内に入ると、「いらっしゃいませ!」と、スタッフが明るく元気な声で、お客様を店内に迎え入れてくれます。何かあるとすかさず、スタッフが声を掛けてくれます。スワンで働くスタッフの大多数は、知的、精神、身体などに障がいを持つ人、いわゆる社会的弱者と呼ばれる人たちです。人は、人から認められ、喜ばれることに一番幸せを感じるといいます。


時々、食事にいきますが、スワンのスタッフは、お客さんに喜んでもらえる仕事を、心から楽しみ、それを素直に表現しているので、いつも清々しい気分になります。

「誰のために、何のために存在するのか」「私は、誰のために、何のために働いているのか」の目的を持たずに、物質的な豊かさに価値観を置いている多くの現在人が、仕事を心から楽しむことを忘れがちになります。

海津前社長は、たくさんのお話をまるで、マシンガンのように話される方ですが、一つだけ紹介します。

「同情」と「共感」の違いを、分かりやすくこう表現しました。

「一般的な健常者が、街角で手が無い人を見たら、“あの人は手がないな。大変だな、自分がならなくて良かった。”と思うでしょう。これは同情です。しかしスワンのスタッフはこう思うのです。“あの人は手が無いな。大変だな。どうやって、一緒に仕事しようか?”」

これを共感と言われました。

「同情」と「共感」



近いニュアンスとして使われることが少なくないこの二つの言葉は、本質的に全く異なるものです。「同情」は「自分と他者を差別する意識」があります。“自分には関係ない”と無意識に関係性を分断しています。

一方、「共感」はというと、こうありたいと願う自分の姿や願望をその人を重ね合わせて観ることです。だからこそ、「共感」には、ずんと人を突き動かす強い力を持つことができると思います。

理解には、4つの段階があると言われています。

対岸の火事の例で整理してみたいと思います。今のように冬の寒い夜に、川向うの家の火事を見ても人により、理解の仕方が異なります。

1.評価的理解・・・馬鹿だな~火の不始末でもしたのかな~(上から目線)

2.分析的理解・・・風が吹いているし、乾燥しているから、広がるぞ~

3.同調(同情)的理解・・・この寒いのに、寝るところがあるのだろうか、かわいそうだな~

4.共感的理解・・・消防署に連絡をする。バケツを持ってきて、火を消す手伝いをする

1~3までは、外(がわ)から見ている、他人事です。4は、まさに、火事で焼け出された人との気持ちを内(うち)から理解することです。よく、その人の靴を履いてみろ!と言われますが、履いてみると大きすぎるとか、つま先がきついとかわかります。それにしても、ダイバシティーが大切と言っている人の中に、どの位、海津さんほど、一緒に、共感しながら、時には、真剣に怒り、時には、家までいって出勤しない社員を連れて来たりした人がいるかを考えると、私も含めそんなに多くないかもしれません。

傍観者になってはいけないと坂本先生は、よく言いますが、実際は、自分の身に関わらないことは難しいと思います。年を取れば、誰でも、障がい者になる可能性が高くなります。また、人類科学の構造上は、一定数の障がい者が生まれるから、健常者が生まれると言われています。

私自身、障がい者を多く雇用する会社や、施設に訪問すると必ず確認することがあります。

「政治家や行政の人がどの位、ここに来ましたか?」です。すると、ガッカリするのは、50年の歴史で1度だけ・・・といった回答が返ってきます。これで、血税を使って、どの位、効果的な政策ができているのか?できるわけがないと思います。

現在、某協議会の依頼で、障がい者雇用の調査の設計・実施分析をしていますが、まだまだ、障がい者雇用を、健常者の義務として進める現状があることを再認識します。イマージョンは、まだ、50名未満の規模に分類されますので障がい者の雇用の法律的な義務もありません。一方、できるだけ、名刺、印刷物を障がい者の施設に発注するといったことは意識しています。今後、まさに、他人事ではなく、自分事にし、同情でなく共感して毎日気持ちよく働くためにも近い将来、障がい者の雇用をしたいと思います。


【筆者プロフィール】
藤井正隆
株式会社イマージョン代表取締役社長

人を大切にする経営学会理事・事務局長


社会性と経済性を両立させた経営を実現している「いい会社」研究と変革支援がライフワーク。大学院の特任研究員として活動し年間100社以上の全国各地の優良企業を現場視察し、経営学を中心にそのメカニズムを研究。企業事例と理論を融合しわかり易く伝えている。

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