20年先を考える沢根スプリング

人を大切にする経営学会の優良企業視察会で、静岡県浜松市の第4回中小企業庁長官賞受賞企業沢根スプリングスと、うなぎパイで有名な春華堂にお伺いし、トップの講話と工場見学をしました。








会社名沢根スプリング株式会社
住所静岡県浜松市南区小沢渡町1356
資本金3,000万円
事業内容ばね及び関連製品の製造販売
代表者名沢根 孝佳
従業員数51名(男子39名・女子12名)


今日は、まず、沢根スプリング株式会社について共有化します。



代表取締役 沢根孝佳さんの講話が始まる前に、沢根スプリングのイメージソングの動画を紹介されましたが、まさに、沢根スプリングの社風をそのまま表す内容になっています。

沢根社長のお父様の現取締役会長 沢根好孝さんが会社を設立したのは、昭和41(1966)年のことです。当時、高度経済期、2ケタの経済成長の時代です。つまり、作れば売れる時代です。その後、オイルショック、バブル崩壊などがありましたが、沢根孝佳さんが社長として就任したのは、バブルが崩壊したときでした。

1980年代ジャパンアズナンバーワンと言われ、世界中から日本経営に学べと、学者や実務家などが日本に来ましたが、今では、アジアに世界の生産拠点が移り年間2万の工場が海外に出て行っています。ちなみに、この10年で浜松は3割の企業が廃業しています。規模の小さな会社が、大手自動車メーカーの仕事が急になくなるといったことが発生しているからです。

また、グローバル競争の中、大手メーカーからのコストダウン要求は、非常に厳しい状況なのはご存知の通りです。創業当初、輸送関連が取引先が中心であった沢根スプリングは、まさに、トヨタ、デンソー、二次三次、さらにその下へとコストダウンのピラミッド構造になっています。沢根さんが二代目社長として引き継いだ時、某自動車メーカーの数十銭のバネが、今では半分になっているそうです。

毎年、コストダウン要求は強くなる一方でした。そうした中、自社商品の強化が沢根さんの取り組みでした。

その一つは、特殊バネの製造販売です。例えば、体操の床運動の床下のバネなど特殊なもの(バネが入っているため体操選手は大きなジャンプや空中での回転ができる)といった数量は多くないものの、適正な利益が出るバネの製造販売です。現在、沢根スプリングが作っているマイクロコイルは、アメリカに行くと約20ドル。日本円では約2000円で販売していますが、自動車メーカーからの発注の十銭台のバネと付加価値の違いは明白です。

⒉つ目は、生産財の通信販売です。始めたのは28年前、業界では一番最初でした。
サミニ株式会社 12名 売上3億 2500社を相手に、通販をやっています。全国25000社 バラ売りで1個から、標準品は即日発送します。小口フリーサイズ品で最短2日といった短期間発送です。

自分たちでつくったものを自分で売る!


グローバル化といっても海外に行くのではなく、日本にいて海外マーケットに、アリババ、アマゾンで海外にも展開しています。

3つ目は、通信販売とも関係がありますが、小ロット(数本)での製造販売です。

世界最速のばね製造小売業!



を目指すのが事業の方向性で、試作・スポット品から量産・リピート、少量・少数のバネに力をいれています。


また、毎年、経営計画書をつくり、経営理念を戦略・戦術に具現化しています。

<目的>
働く社員さんを幸せにする
成長も利益も手段に過ぎない
<価値>
小さくても輝きながら永続させること、企業の拡大よりも、自然体で、バランスよく。
毎年少しずつ成長するのが望ましい

経営理念(使命) 会社を永続させる
ビジョン(未来像) 幸せ実現経営

事業領域 →いい社風・価値観の共有・いい仕組み あらゆる業界の小口顧客
戦略→戦術→目標
競争力、財務力、社員力 考える チャレンジ、熱意

1. 幸せ実現経営
2. 価格決定権主導
3. 職人生産完結方式
4. スピードとサービス
5. 考え作り、売る、創造

考え・作り・売る!



お父様から引き継いだ会社で、20年かけて、輸送機器の割合を8割→2割に比率を下げてきています。

沢根社長は、これからは、オーダーメイドの時代。4分の3位を、手間がかかって面倒な小口にしたい!と言います。

では、厳しいノルマを社員に課しているかといえば、そんなことはありません。80%主義です。腹八分。学校では、1時間を100点がいいという。30分の時間で60点でとった方がいいというのが沢根スプリングの考え方です。残業時間も月一桁台。有給休暇の消化率も8割を超えます。

逆風、下りのエレベーターの状況で会社を引き継ぎ、さらに、成長させている経営手腕は、御見事というしかありませんでした。

まさに、名経営者といわれる人は、沢根社長のように、20年先を考えて方向性を示し実現していく人だと、改めて感じました。


【筆者プロフィール】
藤井正隆
株式会社イマージョン代表取締役社長

人を大切にする経営学会理事・事務局長


社会性と経済性を両立させた経営を実現している「いい会社」研究と変革支援がライフワーク。大学院の特任研究員として活動し年間100社以上の全国各地の優良企業を現場視察し、経営学を中心にそのメカニズムを研究。企業事例と理論を融合しわかり易く伝えている。

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