社会性と経済性の両立モデル~エフピコ

本日の講演テーマは、「社員とチームをもっと元気にするマネジメント」でしたが、昨日の金融機関での講演テーマは、「会社における社会貢献」でしたので、一部、情報提供した考え方を紹介します。

さて、2010年に「CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)(以下、CSVと略」を、米国ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーター教授が提唱して以来、事業益と公益を両立させることが重要だといわれています。日本でも、キリンがCSVの部署を設けたことをはじめ、取り組む企業が増えています。








会社名株式会社エフピコ
住所広島県福山市曙町1-13-15
資本金13,150百万円
事業内容ポリスチレンペーパーおよびその他の合成樹脂製簡易食品容器の製造・販売
並びに関連包装資材等の販売
代表者名小松 安弘
従業員数795名(エフピコグループ: 4,332名)


CSVが言われる前から、この両立を果たしてきた企業が広島県に本社を置く上場企業株式会社エフピコです。
エフピコは、障がい者雇用で、雑誌その他で取り上げられていますが、本日は、CSVを実現したモデルの会社として紹介したいと思います。





エフピコは、スーパーで売られているお惣菜などに使われるトレーをつくる年間売上高1600億を超える業界NO1企業です。
スーパーなどから回収される容器類は種々雑多です。白無地のものもあれば色柄のものもあり、中には汚れのこびりついた容器や缶詰のフタなど、リサイクルに回せない不適品も含まれています。

それらは混ざったままではただのゴミ、分けないと資源になりません。当初は機械を入れて完全自動化を目指しまいた、機械ではどうしてもうまくいきまでした。結局、機械化を断念し、やはり人の手で分けるしかないとなった時、障がいのある人たちの力を借りたら、障がい者の特性がこの作業に、ぴったりでした。

私も広島本社工場、北関東の工場に何度か訪問して現場を見ましたが、障がい者は集中力が高く、ベルトコンベヤーで次々と流れてくる膨大な量のトレーを即座に識別し、白、色柄ものを正確に分けていく光景は、凄いと思いました。健常者だったら直ぐに飽きてしまうでしょうが、彼らは飽きることなく黙々と作業を続けます。

回収トレーの工場見学の後、創業者の小松会長のお話をお聞きしましたが、77歳になる小松さんは、トレーの品質やコスト、ビジネスモデルなど、どれをとっても非常に詳しくご存知です。これだけの規模のトップとは思えないほど現場にも精通し、且つ、ミクロだけでなくマクロの両面を踏まえた上での経営は、さすがに、一代でこれだけの企業に育て上げた経営者のレベルは凄いと感じました。

特に、ビジネスの構想力は驚くばかりであり、ヤマト運輸の故小倉会長が、9.11で無くなったニューヨークのツインタワーの上から、ニューヨークの街を見ながら、フェデックスのトラックがチョコチョコ走るのを見て、網の目のようにピッキング拠点を設ければ、最初は赤字でも必ず黒字になると考えました。郵便小包のインフラがある中で、小口の宅配に参入していった話を思い出しながら、小松会長の話を聞いていました。

小松会長のビジネスの構想は以下の通りです。

トレーの回収率が、業界NO1


1.リサイクルして環境問題に貢献する
2.障がい者雇用率16%重度も含めてカウントは、約600名を雇用し福祉に取り組む
3.1と2により、バージン品(新品)に比べて、安価でトレーを製造し、コスト競争力を高める
4.日本の市場を、ヤマト運輸の故小倉さんのように、ネットワークで捉え、物流を考えて、リサイクル拠点をつくる
5.1~4で得たノウハウを持って技術を海外に輸出する

まさに、見事なビジネスの構想で、
1.顧客良し、2.社員良し、3、世間良し(環境問題と福祉)、自社良しで、近江商人の3方良しどころか、4方良しになっています。ビジネス構想の精度からすれば、3000億や5000億も既に起こった未来といった感じです。

人を大切にする経営の実現には、弱者にやさしい思いが強いことが前提ですが、そのためには、しっかりと経営基盤を強固なものにする必要があります。世界的に見ても、難民問題をはじめ、圧倒的に社会的弱者が多くっている中、行政では、とても解決できないのが現実です。

前述のように、昨日の若手経営者の講演テーマは、「企業における社会貢献」でした。その中で、エフピコではなく、10社程の事例を挙げて、理論と具体的な展開のお話をしました。業種もレストラン、廃棄処理施設、食品スーパー他と様々です。

「わが社では、障がい者にやってもらえそうな仕事がありません」とよく言われます。しかし、エフピコに限らず、実現している会社が実際にあります。つまり、障がい者雇用が無理だというのは思い込みであり、社会性と経済性を高める意図を持ち、ビジネス構想を持って取り組めば可能だということを証明しているのです。


【筆者プロフィール】
藤井正隆
株式会社イマージョン代表取締役社長

人を大切にする経営学会理事・事務局長


社会性と経済性を両立させた経営を実現している「いい会社」研究と変革支援がライフワーク。大学院の特任研究員として活動し年間100社以上の全国各地の優良企業を現場視察し、経営学を中心にそのメカニズムを研究。企業事例と理論を融合しわかり易く伝えている。

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