現場に答えがある・・・を実感

先日、坂本先生と仲間と四国に行き、ルボア株式会社(財布などの皮製品製造販売の会社)と、地域シェア26%、全国でふとんを売りまくる高橋ふとん店を尋ねました。








会社名ルボア株式会社
住所香川県東かがわ市松原1097番地3
資本金 1,000万円
事業内容革小物・ベルト・ポーチ・ケース製造
代表者名林 周二
従業員数35名








会社名 株式会社 高橋ふとん店
住所徳島県板野郡松茂町豊久字朝日野6-5
資本金 5千万円
事業内容寝装・寝具の小売業
代表者名代表取締役社長 高橋 武良



ルボアは、1割がプライベートブランド、9割がOEM((オーイーエム、英: original equipment manufacturer)です。OEMとは、他社ブランドの製品を製造することですが、このブランドは、ここで作っていたのか・・・といった高級ブランドが、作られていました。普段使っている財布や小物の皮製品が、型を作られたり色をつけられたり、最後にできるまでの工程を見せていただきました。こんな人たちがこうやって作っているのか・・さらに、林社長から、自社ブランドを立ち上げるむずかしさや海外でのイベント出展のお話をお聞きすると、百貨店その他で売られている現場と、作られていること、ブランド化を目指すプロセスがつながり、事業の全体像がわかります。

午後の高橋ふとん店は、リアル店舗と楽天やアマゾンをはじめ、ネットでの布団販売で、売上約50億140名の会社です。

ネット通販に乗り出したきっかけは、2000年。高橋社長のお母さんが、知人の家具販売店経営者から「高価なソファセットがネット経由で売れて、神戸まで納品に行ってきた」と聞いたことをきっかけに、ネット通販サイト「こだわり安眠館」の運営が始まります。

今では、楽天等で、数多くの賞を受賞するなど、同社の成長に貢献していますが、ネットで売られる布団や枕などの商品の写真が撮影され、ネットに掲載されていくプロセスを高橋さんや社員の方に見せていただき、聞くとなるほどな~と感じます。ネットでの売り方には2種類あります。1つは他の会社が売っているのと同じものを売る方法です。このやり方は市場が大きいのが特徴です。もう1つは他で扱っていないものを売る方法です。市場は小さく、売りにくいのですが、一度売れ始めると利益がでます。同社は店舗にある商品と同じだけのものを揃える、価格はできる限り下げる戦略を選びました。

高橋社長は、

「頑張ったら、成果が上がるというのは間違い。実際、頑張ったとしても成果が上がらないのが現実、いかに、頑張ったら成果が出せるかの戦略を考えて、仕組みに落とし込むのが経営者である私の仕事だと思います。」

と言われました。

高橋社長は、高橋ふとん店に戻ってから、最初は、効率を目指していました。どうしたら効率的になるだろう?しかし、誰がやってもいいものを増やせば増やすほど、結局、大企業との競争や価格競争に巻き込まれます。そこで、あえて、効率が悪いことを行ってきました。その点が、隠れた成功の要因です。リアル店舗では、地域のお客様の名前を憶えて接客する。一人ひとりの枕の高さを図ってあげて提案する。こうした社員のセルフの部分を増やしていくと、はじめは、効率が悪いと思っていたことが、全ていい面になっていったのです。

ネット販売においても特徴があります。解説してくれた2年生の女性社員は、担当の商品の写真撮影からアップまで全て一人で行います。つまり、いわゆるプロのカメラマンがいるわけではないのです。こうしたプロセスの利点は、その商品の良いところが様々な角度からわかることで、商品の専門家になることなのです。

もう一つの成長の要因は、内部体制を整えてきたことであると、高橋社長は話されました。
高橋社長が徳島への実家に呼び戻されてから、売上は、前述のような戦略でドンドン成長していきますが、人が定着しませんでした。売上が上がるほど忙しくなり、人財が欲しいがいい人はとれません。たまたま就職氷河期になり5人の大学生が取れましたが、社内体制を整えていないために辞めていきました。

「毎年、辞めるのは、どう考えても、自社が悪い。良い会社でないからだ」

と考えて、良い会社づくりに取り組むことを決意しました。

悩んだ末に、社員教育に力を入れます。しかし、休みの日に、商品知識といった会社都合の研修ばかりでしたので、やはり現状は変わりません。そこで、12カ月研修をすることにしました。新卒は、1年間教育係がつくようにしました。しかし、1年経ったら放り出されますので、やはり、辞めていきました。そこで、高橋社長自ら、社員との対話を積極的に行いました。

「問題というのは、解決するだけでなく、そのことをわかって上げることが重要である」

ということに気づいたのです。さらに、社員教育も、体験型に変えてゲーム的な要素を入れて、一体感を高めるといったことをしました。こうした過程で、人が辞めなくなりました。

いい会社づくりの3本柱は以下の3つです。

1.経営指針書の作成と年次更新継続→成長している企業には、必ずといっていいほど作っている

2.社員共育→上述のような、会社と社員、教える側と教わる側が共に育つ

3.新卒定期採用→新卒採用が企業の年輪を刻む。地域に魅力ある働き場所を提供する責務がある

また、高橋社長も経営理念の重要性についても触れられました。友人の会社を引き合いで出され、

「ごみ収集会社を、汚いものを扱う会社ではなく、町をキレイにする会社、というと魅力がある会社になる。」

と言われました。経営理念が、自分たちの存在意義を明確にして誇りが持てるといった意味合いです。

ちなみに、高橋ふとん店のミッションは、以下の通りです。


「地域の健康寿命の延長に貢献する」~寝具・インテリア小売業から快適生活空間・眠りの相談所へ


高橋ふとん店でも、高橋社長の話をお聞きし、今では、海外からも数多くの注文が入り、その後、ネットでの布団がコンテナで運ばれてきて保管されている倉庫から、出荷に至るまでのプロセスを見せていただきました。

トップが考えていること、やってきたこと、現場で働く社員の様子や、職場環境、仕事のプロセスが、わかると、文脈がつながります。

「現場に答えがある」

とよく言われますが、まさに、そのことを実感した一日でした。

遠藤功さんの現場力もいいけれど、やはり、坂本光司先生の経営者の手帳に経営の本質、実学が凝縮されていると思います。

「人のやさしさは涙の量に比例する 」「会長と社長の違いは、我慢の度合いだ」他、40年間7500以上の企業訪問研究した坂本先生が100にまとめた経営者の手帳は、まさに、実学だと思います。















【筆者プロフィール】
藤井正隆
株式会社イマージョン代表取締役社長

人を大切にする経営学会理事・事務局長


社会性と経済性を両立させた経営を実現している「いい会社」研究と変革支援がライフワーク。大学院の特任研究員として活動し年間100社以上の全国各地の優良企業を現場視察し、経営学を中心にそのメカニズムを研究。企業事例と理論を融合しわかり易く伝えている。


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