石見銀山生活文化研究所~良さを無くさない程度の経営管理

昨日は、島根県太田市過疎の町人口400名の大森にある中村ブレイスを紹介しました。本日は、同じ大森で、中村ブレイスのすぐ近くにある石見銀山生活文化研究所についても、別の角度から考えてみたいと思います。







会社名株式会社石見銀山生活文化研究所
住所島根県大田市大森町ハ183
資本金4,800万円
事業内容手作りの衣料品・日用雑貨の販売
代表者名代表取締役 会長  松場 大吉
代表取締役 所長  松場 登美

石見銀山生活文化研究所は、「群言堂」というブランドで衣料品や日用雑貨を販売しています。群言堂の商品は、手作り感を大切にし温かみがあります。大量生産したような均質な感じはありません。また、売り場も歴史ある古民家を改修した本格的なもの。棚やテーブルなどの備品も取りためておいた廃材等を有効利用しています。これらの廃材等は、廃校となった学校を借りてストックしてあります。まさに、群言堂は田舎や古いものの魅力、社名そのものである生活文化そのものが商品になっています。

群言堂は、松葉大吉会長(以下大吉さん)と松葉登美社長(以下登美さん)の二人が、お母さんに作ってもらった手作りの洋服を再現しようといったコンセプトで作った製造小売の洋服メーカーで、全国百貨店にも出店しています。



また、地域文化にもこだわり、古民家の再生を数多く手がけ、その中でも阿部家の再生は、現在、宿舎としても活用されています。一人2万5千円と決して安くはありませんが、子供の頃の田舎生活、まさに、大吉さん、登美さんがこだわる”暮らし”を感じることができて、落ち着ける空気を作っています。

登美さんからは、古民家再生、地域再生への思いを、大吉さんからは、起業からブランドがどのように形成されていったか、何にこだわっているかのお話をお聞きしましたが、その考え方には、日本人が薄れたといわれる美意識にこだわっていることを強く感じ共感する点が多々ありました。

特に、登美さんが、お話をされていたことで印象に残ったのは、

「大森町が好きなのは2007年に世界遺産になり、多くの観光客が訪れるようになりましたが、誰一人田んぼをつぶして有料駐車場をつくる住民がいないことも誇りにされていました。安定した収入を得るならば駐車場を作った方がいいかもしれませんが、景観が壊れたりするのでやらない。また、木の周りをつくられた缶コーヒーの自販機など、強制ではなく自主的にやっていることに美意識を感じる・・・」

といったお話です。売上、利益とは、全く異なる価値を重視し、美意識を大切にする取り組みは、まさに、生きていく上で何が大切なのか?を考えさせられます。



中村ブレイス同様に、大吉さんも登美さんも、お金にも無頓着で、地域にも貢献してといいことづくめですが、本当に経営が成り立っているのか?こちらも不思議でした。実際の財務状況を聞いてみると、決して左団扇とは言えない状況でした。

大吉さんと登美さん芸術家としては確かに魅力的で志も素晴らしいと思いますが、経営を永続させることは簡単ではありません。一方、あまり経営管理的なことをしっかりできる方であれば、これほど魅力的な作品や古民家再生ができなかったとも感じます。ホンダの本田宗一郎の右腕だった藤沢武夫のような経営管理を補完する人が必要なのかもしれません。公言されていますので書きますが、登美さんにお話をお聞きしたとき、貯金通帳も見ない・・と言われビックリしたことがあります。

【会社理念】
この地に関わる全ての人の幸せのために、私たちは復古創新というモノサシ(判断基準)で美しい循環を継続していきます。
※「復古創新」とは、過去から本質を理解し、未来からの視点でチャレンジ、創造する行動、考え方です。

論語とソロバンという言葉があります。

本日、りそな銀行の取引先での講演会で、前半坂本光司先生、後半は私が担当しましたが、私は、「順番がある!」といったお話をしました。

論語 と ソロバン
→人がどう行動すべきか?があって、計算があるべきだと思います。

顧客価値 と 売上
→顧客価値を高めないで、売上を追求すると、押し込み販売になる可能性もあり、長続きしません。

社会貢献 と 利益
→社会貢献は、余裕ができてからとよく言われますが、社会貢献を行っている企業が利益を上げています。

従業員満足 と 顧客満足
→従業員満足と顧客満足は、人によって違います。経営者が従業員満足が大切です。社員は、顧客満足が大切です。経営者の立場で考えれば、従業員が満足するから社員が顧客満足に一生懸命になります。

モチベーション と 業績
→モチベーションが高い会社は、例外なく業績が高いのですが、業績が高い会社が必ずしもモチベーションが高いとは限りません。無理に利益を出すことができるからです。

並列ではなく、左が先であるといったメッセージです。

石見銀山生活文化研究所は、私がお伺いした3年前から業績も良くなっているようで、嬉しい限りです。
大吉さん登美さんの思いが無くならない程度に、経営管理を行い、大きくならなくても長く続く企業であってほしいと思います。


【筆者プロフィール】
藤井正隆
株式会社イマージョン代表取締役社長

人を大切にする経営学会理事・事務局長


社会性と経済性を両立させた経営を実現している「いい会社」研究と変革支援がライフワーク。大学院の特任研究員として活動し年間100社以上の全国各地の優良企業を現場視察し、経営学を中心にそのメカニズムを研究。企業事例と理論を融合しわかり易く伝えている。

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